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長崎地方裁判所 昭和63年(わ)99号 判決 1988年8月09日

本籍

佐賀県佐賀郡大和町大字池上六二一番地

住居

長崎県下県郡厳原町大字久田五〇三番地六

貸金業

中原秋義

大正一〇年一〇月一二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官片岡康夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金二〇〇〇万円に処する。

本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納することができないときは、四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、長崎県下県郡厳原町大字久田五〇三番地六において貸金業を営むものであるが、自己の所得税を免れる目的をもって、利息収入の一部を除外し、仮名の定期預金としてこれを預け入れるなどの方法で所得を秘匿した上、

第一  昭和五八年分の実際総所得金額が二、九八五万四、四四七円あったにもかかわらず、同五九年三月一四日、同郡同町大字桟原三八番地所在の厳原税務署において、同税務署長に対し、同五八年分の総所得金額が一、五五七万六、三三〇円でこれに対する所得税額が四七五万八、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により同五八年分の正規の所得税額一、〇九六万六〇〇円と右申告税額との差額六二〇万二、五〇〇円を免れ

第二  昭和五九年分の実際総所得金額が四、五八五万四、一一五円あったにもかかわらず、同六〇年三月一四日、前記厳原税務署において、同税務署長に対し、同五九年分の総所得金額が一、六四六万九、四〇〇円でこれに対する所得税額が四九七万三、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により同五九年分の正規の所得税額一、七七一万四、八〇〇円と右申告税額との差額一、二七四万一、八〇〇円を免れ

第三  昭和六〇年分の実際総所得金額が一億四〇一万五、〇七八円あったにもかかわらず、同六一年三月一四日、前記厳原税務署において、同税務署長に対し、同六〇年分の総所得金額が二、四五八万七、八一〇円でこれに対する所得税額が九二二万七、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により同六〇年分の正規の所得税額五、九四五万八、八〇〇円と右申告税額との差額五、〇二三万一、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書(乙1ないし11)及び検察官に対する各供述調書(乙12、13)

一  大蔵事務官作成の「修正申告書等の送付について」(甲9)

一  長崎県対馬支庁長作成の捜査関係事項回答書(甲12)

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(甲13ないし36)

判示第一の事実につき

一  押収にかかる昭和五八年度分の所得税の確定申告書(昭和六三年押第三四号の1)

判示第二の事実につき

一  押収にかかる昭和五九年度分の所得税の確定申告書(同号の2)

判示第三の事実につき

一  押収にかかる昭和六〇年度分の所得税の確定申告書(同号の3)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも、所得税法二三八条一項に該当するところ、所定刑中懲役刑及び罰金刑を選択し、なお、罰金刑についてはいずれも情状により同条二項を適用して、その免れた所得税の額に相当する金額以下とすることとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については、同方四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示各罪所定の右罰金額を合算し、その刑期及び罰金額の範囲内で、被告人を懲役一年六月及び罰金二〇〇〇万円に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとし、同法一八条により、右罰金を完納することができないときは、四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 赤塚健)

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